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STaD×聖隷佐倉市民病院「乳がんに効くおくすり」 | トピックス | すたっとTV

健康チェック

STaD×聖隷佐倉市民病院「乳がんに効くおくすり」

2011/12/28

はじめに
 乳がんに効くおくすりは数多く存在するがんの中でもたくさんあり、それらを使って治療を組み立てていきます。ここでは化学療法・内分泌療法・分子標的薬の3種類についてお話ししたいと思います。
(1) 化学療法
いわゆる抗がん剤であり、例えて言うなら毒です。乳がん細胞に攻撃する点では効果がありますが、その反面、身体の細胞にも攻撃するため、脱毛、吐き気、抵抗力の低下などの副作用があらわれます。
(2) 内分泌療法(ホルモン療法)
がん細胞が増えるにあたって、女性ホルモンを必要とする乳がんに特長的なおくすりと言えます。内分泌療法はこうした女性ホルモンを抑えることによって乳がんを攻撃します。化学療法に比べて、効果はゆるやかですが副作用のやさしい点が特徴です。
(3) 分子標的薬
2001年から日本に登場してきたもので、一部の乳がんに対して副作用が少なく(※)優れた効果を持つおくすりです。
※抗がん剤とは違い、脱毛、吐き気、抵抗力の低下などのような副作用があらわれるのは稀です。

再発させない治療
 乳がんは内臓のがんではないため、手術の負担は比較的小さいといえます。乳がんを患ったとき最も重要なポイントはそれが治るかどうかという点で、手術後、10年以上経過しても再発していない事が目標になります。それには、手術のあとにおくすりをしっかり使っていくことが重要となるため、乳がんの進行状況や腫瘍の性質によってどんなおくすりを使うのか話し合います。化学療法は3~6か月、内分泌療法は5年間、分子標的薬は1年間の治療を行うことが一般的です。3種類をすべて行うこともあれば、1種類もしくは2種類のこともあります。再発すると治すことが難しくなるため、このようなおくすりを使って再発させない治療をしっかりと行わなければなりません。

再発した時の治療
 乳がんは進行状況や腫瘍の性質により再発する可能性があり、10年以内に再発する可能性は3割とも言われています。再発した時の治療も先に記載した3種類です。再発した乳がんに対して、過去には治すことを目標に、無理な薬物療法が行われたこともありました。しかし、現在のところ3種類ともに、ある程度の効果は期待できても、治るところまでは到達していません。3種類の治療法を選択する順番は、副作用の少ない治療でできるかぎり自分の生活を変化なく維持するか、とにかくがんに有効な治療で長く生きることを目標にするか、目的によってじっくり考えていきます。一般的には、まず副作用の少ない内分泌療法を使い、その効果が低下したところで化学療法を選択することが多いのですが、その逆の場合もあります。これらは価値観・人生観によっても大きく変わってきますので、主治医、ご家族とじっくり話し合いをして自分に合った治療法を選択することが大事だと思います。再発した乳がんを治すことは容易ではありませんが、こちらにはおくすりというカードが何枚もあります。うまくカードを切って自分らしく過ごしていただくお手伝いができたら幸いです。

おわりに
 乳がんは早期発見できれば、治る確率が高い病気です。そのために、1年に1回は健康診断を受けましょう。そこでもし異常があると言われたり、ご自身で違和感を感じたりするようなことがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。