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STaD×聖隷佐倉市民病院 『狭心症について』 | トピックス | すたっとTV

健康チェック

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循環器科 医長 徳山 権一(とくやま  けんいち)

STaD×聖隷佐倉市民病院 『狭心症について』

2013/01/31

1.狭心症とはどういう病気ですか?
 心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を送り込んでいる血管は冠動脈とよばれます。冠動脈が何らかの原因で狭くなり流れにくくなっておこるのが狭心症で、血流が途絶えてつまってしまうのが急性心筋梗塞です。
 狭心症の原因は動脈硬化による狭搾(きょうさく)と、あまり狭くない冠動脈にけいれんを起こすものに分けられ、速足、坂道、力仕事で心臓に負担がかかると症状が起きる労作性狭心症と、安静時(特に夜間や早朝)に冠動脈がけいれんを起こす冠れん縮性狭心症があります。
 また重症度により安定型狭心症と心筋梗塞になりやすい不安定狭心症に分類されます。

2.動脈硬化を起こしやすい人などいるのですか?
 喫煙、脂質異常症、糖尿病、高血圧、肥満、ストレス、加齢などさまざまな原因があります。複数の合併がある人は、狭心症のリスクが高まります。生活習慣の改善を心がけましょう。

3.どのような症状がでるのでしょうか?
 典型的なものは胸が締め付けられる痛みが数分から10分程度続きます。
その他にみぞおち、奥歯、首、肩、背中、左腕に広がるような症状(放散痛)を訴える方もいらっしゃいます。糖尿病、高齢者の方は痛みでなく、息切れ、気持ち悪い等、典型的でない場合もあり注意が必要です。

4.どのような検査や治療方法がありますか?
 【検査】
 一般的に外来で心電図や胸のレントゲン、血液検査を行います。
症状がない時や軽症の場合は異常がはっきりしない場合が多く、24時間携帯するホルター心電図、動くベルトの上を早足で歩くトレッドミル検査、心臓の動き、サイズや機能、弁の状態をみる心エコーで評価します。
さらに自転車をこいだり、薬物を負荷しながら微量の放射性薬品を投与し心筋の血流をみる 負荷心筋シンチグラムや造影剤を用いて冠動脈の狭窄を評価する心臓CTを外来で施行します。
 強く狭心症が疑われる場合は、確定診断するために入院して心臓カテーテル検査(冠動脈造影)をすすめます。

※心臓カテーテル検査とは:実際に冠動脈の入り口までカテーテルという細い管を挿入し、そこから冠動脈に造影剤を流し、冠動脈の状態を動画で撮影する検査です。冠れん縮性狭心症が疑われる場合は冠動脈のけいれんを誘発する薬剤を用いて起こりやすいかどうか調べるアセチルコリン負荷試験をすることもあります。
 実際に血管が狭いかどうか確定的な診断をつけるためには重要な検査です。

 【治療方法】
1)薬物治療:血液をさらさらする薬(アスピリン、プラビックス等)、血管を広げる薬(ニトログリセリン、カルシウム拮抗薬等)、心臓の負担を減らす薬(βブロッカー)などを用いられます。
また、冠れん縮性狭心症の場合には、れん縮予防効果のある薬(ニトログリセリン、カルシウム拮抗薬)を用います。
2)カテーテル治療:局所麻酔下で手首や足の血管から細い管(カテーテル)をいれて、治療を行います。血管を風船でひろげるバルーン治療、ステント(金属メッシュの筒)の留置、ロータブレーターという治療具で硬い病変をけずりとる方法があります。再狭窄(治療部位がまた狭くなること)の頻度が少ない薬剤溶出性ステントも使われます。
3)冠動脈バイパス手術:カテーテル治療が困難な場合、全身麻酔下に動脈あるいは静脈の一部を冠動脈につなぎ、新しい血流ルートを作る手術が行われます。心臓を一時的にとめて、人工心肺装置を使って行いますが、心臓を動かしたまま手術することもあります。

最後に
 最近新たに症状がおきたり、ふだんより強いあるいは10分以上長く続くものは不安定狭心症や急性心筋梗塞の可能性があり、がまんをしないで、遠慮せずになるべく早く救急車をよび病院(循環器内科)を受診しましょう。