今年度から酒々井町が運営してきた「しすいハーブガーデン」が、町民協働型のハーブガーデンとして生まれ変わります。酒々井町として初めての協働の取り組み。各地で地域の皆さんが自発的に取り組む姿を取材しました。
しすいハーブガーデンの町民協働の取り組みと、佐倉歴史生活資料館運営会をご紹介します。
小坂泰久酒々井町長
●「しすいハーブガーデン」は、なぜ町民協働型に変わったのですか?
酒々井町が運営してきた「しすいハーブガーデン」は、今年で開園15年を迎えます。設立当時は大変な人気でしたが、近年では大規模なハーブ施設の誕生やハーブの苗も手軽に入手することができ、次第に魅力に欠けてリピーターも減り伸び悩んできました。行政で取り組むよりも、町民の皆さんの知恵と協働精神のもと、オリジナリティ溢れるアイディアを活かして運営して頂いた方が良いのでないかという期待を持って、今年「酒々井ハーブガーデン運営協議会」を設立。行政とハーブ愛好家団体「ハーブの丘」、学識経験者の約10名で、リニューアルに向けて準備を進めてきました。
●ハーブガーデンは、どのような内容に変わるのでしょう?
協議会委員である「ハーブの丘」の皆さんは、公民館主催のタウンカレッジでハーブ教室を開催した際、受講生自らが「ミントの会」というハーブサークルを発足。今回の協働に先立ち、その中の有志で結成されたのが「ハーブの丘」です。皆さんは、ハーブティーやハーブクッキーも作っていますので、これまでになかったオリジナルハーブクッキーの販売やハーブの染め物、寄せ植え講習会、花摘みやハーブを使ったクラフトの体験教室など、体験型のハーブガーデンに生まれ変わる予定です。また、ボランティアとして「ミントの会」の皆さんも参加しており、春の開園に向けて、ガーデンの整備等も行って下さっています。
●町民協働型によるまちづくりの期待は?
酒々井町にとって、これが真の協働の始まりであり、原点だと認識しています。町民の英知が注がれたこの事業をぜひ成功させたい。町民と行政が対等な立場で良きパートナーとして連携し、まちづくりに取り組んでいくための先駆けになっていくものと確信しています。読者の皆様も4月からリニューアルした「しすいハーブガーデン」に、ぜひいらして下さい。私どもも多くの方に来て頂けるよう、最大限の努力で町民協働のまちづくりを行っていきます。
酒瀬川 芳子さん(運営協議会委員)
私は、ハーブガーデンを何とか救いたいという一心で参加しました。協働型になることで、行政からの丸投げではなく、役場の方と一緒に運営していけるのが心強いです。これまで、行政の管轄では壁があるように感じていましたが、今回の取り組みで皆の自由な発想が実現できてとても楽しみ。
町民の手作りによるハーブ作品の展示販売やイベントでは、ボーイスカウトに協力して貰い、火を起こしてバーベキューを行ったり、色々な方に参加して頂きながらガーデンを盛り上げていきたいです。
町民協働型になったことで、個人では難しい部分を役場で、アイディアは私達で、といった各々の強みを生かした役割分担で、より良いまちづくりに繋がればと思います。
町がハーブに取り組んでから18年が経ち、現在では、町民の各家庭にもハーブが一鉢はあります。これからは「ハーブの町」として、ハーブの効能や効用を活かして、町自体が元気で健康になったらいいなと思います。来園者に喜んで頂くためにも、きれいな花を咲かせようと皆で奮闘中です。それは同時に私達の希望の花でもありますね。
城下町佐倉 歴史生活資料館運営会
歴史生活資料館は、佐倉TMO空き店舗活用事業の第1号として、旧城下町の新町通りに誕生した資料館です。館内では、市民の寄贈による昔の生活道具類や佐倉の歴史に関する展示を行っています。今年開館5年目。佐倉商工会議所管轄のもと、約30名のボランティアが運営を支えてきました。ボランティアは交替制で資料館に常駐。来館者への案内と年に2回、自分達で企画した展示を行っています。ボランティアの多くは、城下町佐倉に魅力を感じて活動に参加。自分達で企画する展示が一番の楽しみで、現在も6月からの企画展に向け準備中。次回は、全国の名城百選に選ばれた「佐倉城址」をテーマにした企画展を予定しており、皆、専門家のもとで勉強に励んでいます。
代表の粟飯原さんは「来館者から素晴らしい企画をしてくれました、と言われると何よりの励みになる」、開館当初からボランティアを務める鎌滝さんは「お客様と一緒に楽しむことができる空間作りを心がけ、多くの方が佐倉を訪れ、賑わいを少しでも取り戻したい」と語ります。ボランティアの皆さんの願いは一つ。「佐倉の良さを実感して欲しい」。佐倉の魅力を伝える為、皆さんは今日も笑顔で来館者を迎えています。
みんなで人権を考えるつどい(四街道市)
3月18日、四街道市で人権に関して初めて市民協働型の催し「あなたがいて わたしがいて みんながいて 気付こう人権in四街道」が、市文化センターを会場に開催されました。市では「人権」という深い社会問題を身近に考えて貰おうと、実行委員を一般公募。人権に対して意識の高い市民が集まり、15名で実行委員会を設立。イベントは、座談会と市民による創作合唱ミュージカルの構成で、ミュージカルには、四街道少年少女合唱団や千葉盲学校、NPO四街道こどもネットワークなど7団体が参加しました。
人権の集いテーマソング「朝はみんなに訪れる」は、視覚障がい者の市民が作詞、曲はNHK「みんなのうた」でお馴染みの作詞・作曲家、峯陽氏が手がけました。行政と市民が同じテーブルで、事業予算と内容の検討を行い、開催に向けてのプロセスを一番大切に、委員自らが人権問題への自主学習も企画。実行委員は座談会・合唱ミュージカルに分かれて、話し合いや練習を重ねてきました。
実行委員会を約1年に渡り支えてきた健康福祉部社会福祉課の田島さんは「今回の事業で、行政と市民とで人権を尊重したまちづくりに一つの点を打った形となりました。今後も、市民協働でその点を線に変え、自由自在に住み良い街を描いてゆけたらと思います」。実行委員長を務めた戸田さんは「試行錯誤でしたが、市民と行政が各々、得意分野を活かして大きな力を発揮することができ、多くの人と人権について気付き合うきっかけとなりました」と語ります。イベント終了後が、本当の市民協働のスタート。ともに築きあげた舞台は、今後も市民によって再演され、歌はいつまでも四街道の地に歌い継がれていきます。
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