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すたっとコラボレーション「バラが繋ぐまちづくり」 2009年5月

2009/05/01

「バラが繋ぐまちづくり」

春はバラの花が最盛期を迎える季節。「佐倉草ぶえの丘バラ園」を手がける「NPOバラ文化研究所」前原克彦理事長と、バラでコミュニティの形成に奮闘する八千代市「貝殻亭」岩﨑肇オーナーを迎え、バラによるまちづくりについてお話を伺いました。

佐倉草ぶえの丘バラ園(NPOバラ文化研究所)
理事長 前原克彦さん

「NPOバラ文化研究所」は、日本のバラブリーダーの第一人者であった故・鈴木省三氏の意思を継承し、平成8年佐倉市下志津に「ローズガーデンアルバ」を開設。平成18年には佐倉市との協働で「佐倉草ぶえの丘バラ園」として再スタートを切り、国内外の貴重品種の収集・保存、日本の風土に合った品種育成、バラの歴史・文化の研究と普及を目的に「バラの博物館」を目指しています。園内には約1050品種、2500株のバラを植栽。5枚の花弁からなる原種、世界の名画に描かれた歴史を纏う現代バラの基であるオールドローズ、品種改良に多大な影響を与え
たアジアのバラ、生涯129品種を生み出し国際大会で数々の賞を受賞した鈴木省三コレクション等、ここでしか見る事のできない貴重なバラが植栽されています。また、バラに関する書籍と歴史資料、約9000点を所蔵する資料室も併設しており、バラの歴史・文化について学ぶ事もできる博物館機能を誇るバラ園です。2011年には「国際ヘリテージローズ会議」を招致。アジアでは初めての開催で、世界各国からバラ研究者や育種家、愛好家が佐倉に集結します。草ぶえの丘バラ園の視察は勿論、旧堀田邸敷地内にある佐倉厚生園記念館で研究者によるバラ会議を開催。佐倉藩主・堀田正倫公の後継・正恒氏が「帝国ばら協会」会長を歴任した経歴を誇り、昭和初期まで住んでいた本郷弥生町の堀田家邸宅の庭にはバラ園が存在していた事から、佐倉市とバラの歴史的な強い結び付きを示唆します。招致に向け現在、拡張工事を進める900坪の土地には、コレクションの地名に由来した「サンタ・マリアの谷」と「インドの夢」コーナーを新設し、600株のバラを植栽します。また、一般向けに「バラまつり」を計画、賛同者で実行委員会を結成し内容の企画立案に取り組む考えです。佐倉市から世界に誇るバラ園の存在を発信していくとともに、地域の方々と様々な知恵を出し合い市民協働で催しを開催、「大人が楽しめる様な品格あるまつりにしたい」と構想を語ります。現在、バラ園には年間延べ3000名のボランティアが参加。北総台地に似合うバラ園の姿を目指して、バラの手入れや剪定誘引、園路整備等、手作業で行っています。美しいバラが咲き誇る背景にはボランティアの支えがあり、その成長を毎年バラ園の景観に見る事ができます。まずは、今春の開花を楽しんで頂きながら、2011年に向けて進化するバラ園の姿に地域の夢と希望を重ねて頂きたい。そして、佐倉市で世界規模のバラ会議が開催される意味と「バラ」が地域資源と認識される契機になる事を目指します。

仏蘭西料理店「貝殻亭」(ナニワイバラ街づくりプロジェクト)
オーナー 岩﨑肇さん

最盛期になると八千代市の仏蘭西料理店「貝殻亭」の屋根を覆いつくす様に咲く大ナニワイバラは店のシンボルです。お客様にも親しまれるナニワイバラについて自分なりに調べ苗作りを試みたところ、すぐに成功したので驚きと同時に嬉しくなりました。以来、毎年苗作りを行っていた折、貝殻亭が開店25周年を迎え、支えて下さった皆様への感謝の気持ちと八千代市の花がバラである事からプロジェクトを発足、苗の無料配布を本格的にスタートさせました。数年後、配布先のお客様が開花したバラの写真を持参して喜びを伝えて下さる姿に、新たなコミュニティを感じました。苗を育てるお客様同士がバラを通じて会話を楽しむ事で交流が生まれ、未来を担う子ども達が安心して住む事のできるまちづくりが構築されるのでないかと考えました。試みから年経過した現在では、八千代市や佐倉市等、約700名がメンバーとなり苗を育てて下さっています。育てる過程での剪定作業等のメンテナンス相談にも応じ、お客様との会話を大切に開花の喜びを共有したい気持ちで取り組んでいます。施設にも苗を寄贈。学校には生徒が母校を誇る事のできるシンボル的存在として、またPTAの皆さんと苗を作り在校生が育てたバラを卒業生に贈る事で、卒業後も開花の度に母校を懐しんで貰いたいとの願いで寄贈しています。貝殻亭リゾートでは、今春から原点である「バラの苗一般無料配布会」を始め、様々なイベントを開催します。バラを通じて多くの方との対話を楽しみ、貝殻亭から配布した皆さんのお宅のナニワイバラが、やがて美しい景観を誇る「バラのまち」、人の心が通う「コミュニティ」を築く事を期待しています。


バラへの造詣が深い前原さん、バラがまちづくりの鍵と考える岩﨑さん。二人が顔を合わせた事でバラツアーや講習会等、互いの強みを活かした新たな試みが生まれそうです。多くの人を魅了するバラは、地域に活力をもたらす魅力を秘めています。この春、バラの開花にまちの未来を重ねませんか。