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すたっとコラボレーション「開国150周年と佐倉」vol.2 2008年1月 

2008/09/21

2008年は日米修好通商条約締結から150周年。
開国に尽力した佐倉藩主・堀田正睦公を始め佐倉藩士の功績を、様々な分野で活動する市民の皆さんの声を通して振り返り郷土の歴史について考えました。

郷土資料収集家の北詰栄男さんに、佐倉の歴史についてお話を伺いました。

堀田家廟所清掃の会 世話人
北澤 明さん

佐倉市民カレッジ卒業生と市民有志、そしてカレッジ現役生が加わったグループです。郷土の歴史を学び堀田家の功績に感銘を受け、畏敬と感謝の気持ちを込めて、毎月10日に廟所の清掃をボランティアで行っています。
 清掃を続けて約10年。発足当初は、前当主である堀田正久氏が清掃の際、色々な話をして下さり、授業では経験できない佐倉藩の歴史について、貴重な話を聞く事ができ楽しみでした。正久氏とのお話を通して佐倉の歴史について学ぶ機会を得た事は、現在も活動の原動力になっています。
 廟所には大老で「天和の治」と称される政治を執り行った正俊公を始め、老中首座の正睦公、最後の佐倉藩主・正倫公等、歴代藩主が眠っています。交渉を重ね開国へのレールを敷いただけでなく、順天堂を開設した佐藤泰然を招くなど、近代医学への貢献も計り知れない正睦公。農業や教育振興に尽力、佐倉中学校(現・佐倉高校)廃校の危機を救った正倫公等が佐倉を隆盛に導き「歴史と文化のまち・佐倉」を築いて下さいました。
 廟所には、菩提寺である甚大寺への参拝も兼ねて市内外から沢山の方が訪れます。廟所を見るだけでなく、私達が説明する事で佐倉の歴史を多くの方にお伝えできたらと、会員一同勉強に励んでいます。そして、廟所を流れる澄んだ厳かな空気を守っていく為、自分達にできる恩返しをこれからも続けていきます。


郷土資料収集家 北詰栄男さん
(メタル・アート・ミュージアム光の谷館長)

 日本の歴史において佐倉に陽が当たったのは、幕末の堀田正睦公の時代です。江戸時代末期に堀田正睦公が新しい学問である洋学を奨励、佐倉には二つの洋学があったと考えます。
 一つは佐倉順天堂の蘭学。蘭方医・佐藤泰然を招き開設した順天堂には、全国から優秀な人材が集まり蘭医学を学びました。もう一つは佐倉藩の洋学。正睦公が心血注いだ外国交渉の中で、蘭語から英語へと早期に切り替わり、日本近代文明の各分野における先覚者を生む契機になったと考えます。
 兵学者の木村軍太郎、軍事技術者として活躍した大築尚志、思想家の西村茂樹、漢学者の依田學海、製靴業の先駆者である西村勝三、農学者・津田仙、芸術界では洋画家・浅井忠、工芸家・津田信夫等、佐倉藩士と子孫は様々な分野で躍進を遂げます。幕末の佐倉が輝いた所以です。
 佐倉城址公園にある堀田正睦公銅像は、佐倉ライオンズクラブ創立40周年を記念して建立されたものですが、市内で活動する作家により市内の鋳造工房で制作されたものです。開国150周年を機に正睦公の隣りにハリス像も建立できたら、観光資源にもなるのではと期待しています。開国150周年を迎える2008年。市民の皆さんには郷土の歴史を自ら学んで知って頂くきっかけ作りの年にして頂きたい。知ってこそ初めて郷土に愛情が沸くもの。「知る事は愛なり」です。


佐倉藩友会 事務局長
佐治洋之助さん

 「佐倉藩友会」は、佐倉藩関係者の子孫達、約100名で構成されており、私の先祖も正睦公に仕えた佐倉藩の家臣でした。西は姫路、東は宮城と遠方の会員もいます。毎年、堀田家現当主を囲んで顔を合わせている他、当時、山形県に約4万石を領していた事から、現在も山形の方々と交流をはかっています。
 また、毎年講師を迎え、当時の順天堂病院における医術や幕末の天狗党征伐について等、佐倉藩の勉強をしています。正睦公と佐倉藩士は、西洋文化に貪欲な知識を求め、医学では種痘を施して天然痘等疫病の蔓延を抑制、兵術面でも西洋兵術をいち早く導入しており、外交面や外国知識において、先見の目に秀でていた事がわかります。
 また、正睦公の四男で最後の佐倉藩主となった正倫公は、農事試験場を開設。余り知られていませんが、印旛沼の淡水貝で真珠の養殖を行い、螺鈿細工の開発を手がけました。医学、外語大学、美術、文学、政治、産業等、様々な分野で現在の日本における礎の多くを築いたのは、佐倉藩であると自負しています。
 開国150周年の2008年を契機に、市民の皆さんと一緒に過去を紐解き、未来の先駆者となるよう切磋琢磨してきた先輩達の功績を学びながら、藩友会としても歴史ある佐倉を守り伝えていきたいです。

2008年、佐倉市では開国150周年を記念し、各種行事の開催を通じて、幕末の佐倉の姿を多くの人に伝える他、シンポジウムや講座、企画展示等の開催を計画しています。また、市内の飲食店では開国当時をイメージする「開国メニュー」の考案や佐倉の逸品コンテスト受賞者で構成された佐倉逸品名店会でも、同コンセプトのもと、新しい菓子を試作するなど、商業活性化も視野に入れた展開を目指しています。
開国150周年の節目である2008年、過去を学び、明日の佐倉を創る元年にしてみませんか。