Q1:病院で「脊椎圧迫骨折」と診断されました。どんな骨折なのでしょうか?
A1:脊椎とは背骨のことです。脊椎の中でも胸椎(背中の骨)・腰椎(腰の骨)に特に多く発症します。圧迫骨折とは文字通り、これらの骨が圧迫されたような形でつぶれてしまう骨折です。胸椎におこれば胸椎圧迫骨折、腰椎におこれば腰椎圧迫骨折と表現されます。圧迫骨折のほとんどは骨粗鬆症が原因でおこっており、現在最も多い骨折です。発症直後から体動も困難な程の強い痛みを呈します。治療はまず保存療法が原則です。鎮痛剤、湿布などの処方に加えてコルセットなどを使用します。大部分はこれで半月から1か月程度でもとの生活に復帰できます。
Q2:痛みがなかなか治まらないのですが…。
A2:骨癒合が進まず痛みが長引いてしまうことがあります。骨癒合がうまく進まない場合、骨折部でいつまでも骨がぐらぐらと動いてしまうため、いつまでたっても痛みが緩和されません。また、骨折のため背骨全体が後弯変形(背中が丸くなることです)してしまいます。このような場合は手術療法も考慮されます。
Q3:手術療法について教えて下さい。
A3:2011年1月より厚生労働省から保険診療として認可された新しい手術方法について紹介します。欧米を中心に10年程前から行われている手術ですが、このたび安全性が確認され、日本に導入されました。Balloon Kyphoplastyという手術です。風船を用いてセメントを骨折部に注入するものです。単にセメント注入を行う手術は以前より存在しましたが、手術の安全性や手術成績の点で風船を用いるこの手術は優れています。手術は全身麻酔で行います。背中に左右1程度の切開を行い、そこから細い筒を2本、骨折部に挿入します。筒の先端から頑丈な風船を膨らませて、骨の中に十分な空間と骨の壁を作ります。そこへセメントを注入します。手術時間は40分程度、出血量はごく少量です。当院では2泊3日程度の入院期間で行っております。手術翌日よりコルセットなしで歩行開始としています。痛みは劇的に改善することが多く、日常生活レベルも飛躍的に向上します。現在のところ、この手術は海外で手術手技研修を受け、資格を修得した医師が行うことが条件となっており、千葉県内では当院を含めた4病院で受けることが可能です。
※注1)椎体の中に入れた風船を膨らませ、風船を抜くと椎体内に空間ができます。その空間を満たすように、骨セメントを充填します。
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第21回STaD健康チェック『脊椎圧迫骨折の治療について教えてください』 | トピックス | すたっとTV
健康チェック
整形外科医長 古志 貴和
※注1)