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STaD×聖隷佐倉市民病院「そけいヘルニアについてQ&A」 | トピックス | すたっとTV

健康チェック

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副院長・外科部長:有田 誠司

STaD×聖隷佐倉市民病院「そけいヘルニアについてQ&A」

2012/05/31

Q1:そけいヘルニアとはどういう病気でしょうか?
A1:左右の股間(片方または両側)の部分がふくらむ病気で俗に脱腸と云われています。多くは立つと膨らみ、寝ると元に戻ります。小児と成人では起こる機序※2が異なるため、ここでは当院で治療の対象としている成人のそけいヘルニアについてお話します。そけい部(鼡径部)と呼ばれる左右の股間の部分は色々な筋肉や筋膜により構成されていますが、これらのどこかの部分がゆるむとその隙間から腹膜をかぶって腸がでてふくらむ状態をそけいヘルニアといいます。ゆるむ部分により、外そけいヘルニア、内そけいヘルニア、大腿ヘルニアなどの種類があります。

Q2:どういう状態になると治療の適応となるのでしょうか?
A2:ヘルニア部分の出入りそのものにより痛みを伴うこともありますが、出たまま戻らなくなることをそけいヘルニアの嵌頓(かんとん)といい激しい痛みと共に緊急に手術が必要となります。脱出して絞めつけられた腸の状況によっては腸の切除も必要です。成人のヘルニアは自然に治ることはなく、むしろ時間と共にヘルニアのでてくる隙間は大きくなります。立位で股間(そけい部)が明らかに膨らむようなら早めの受診をお勧めします。

Q3:どういう治療法があるのでしょうか?
A3:基本的には手術となります。腹膜をかぶって出てくる脱腸の部分(ヘルニア嚢と呼びます)を周囲よりはがし元に戻し、ヘルニアの原因となっている、ゆるんだ筋肉・筋膜の隙間を補強します。ゆるんだ筋肉・筋膜の部分を無理に寄せてもまた再発してしまうことがあるため、現在では、多くはテンションフリー法といって生体刺激の少ない弾力性のあるMesh(あみ)を用いて補強するやり方が一般的です。色々な手術法がありますが、当院では、ヘルニアの状態、年齢、体力、持病などを考慮し、最適な麻酔、手術法を選択し、充分に説明の上、手術を施行します。入院期間は約3日間です。退院後は2週間程度激しい運動を控えていただければいつもどおりの生活で大丈夫です。

Q4:その他の種類のヘルニアについてはどうでしょうか?
A4:私たち外科が扱うヘルニアには他に腹壁瘢痕ヘルニアとよばれる病気があります。これはけがやお腹の手術でできた傷跡下の筋肉の一部が裂けて、その隙間から腹膜をかぶって腸が出入りする脱腸のことです。そけいヘルニアと同じく立つと膨らみ、寝ると元に戻ります。出たまま戻らなくなると嵌頓(かんとん)ヘルニアといい、そけいヘルニアの嵌頓と同じく緊急手術となります。色々な手術法がありますが、こちらも大きめのMesh(あみ)を用いて補強する手術が主流です。このような症状をお持ちの方はやはり早めの受診をお勧めします。そけいヘルニアも腹壁瘢痕ヘルニアも手術というとためらいがちですが、今では麻酔法、術後の痛み止めが発達しています。お心当たりの方はひどくなる前にお気軽にご相談下さい。