Q1 慢性腎臓病とはどんな病気でしょうか?
A1 慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓にまつわる病気や異常など、全てをひとくくりにした病名です。単一の病気ではありませんが、将来透析へと進行する危険性がある、しかも心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす危険性まである、という点で共通しているため、5年前からこの病名が世界中で使われ始めました。「透析予備軍」という言葉でCKDの危機感を表現する人達もいるくらいです。
ちなみに日本では1300万人が該当するといわれています。つまり、成人国民8人に1人、という高率ですから決して他人事ではありません。
Q2 どんな時にCKDを心配したらいいですか?
A2 CKDの大半は無自覚・無症状です。痛くもかゆくもありませんし、みなさん元気一杯です。ということは健康診断や、かかりつけの医療機関でおこなった尿や血液の検査が唯一の発見方法になります。表に示した3項目の基準のうち、どれか1つでも当てはまったら腎臓の専門医に受診することをお勧めします。特に、糖尿病や高血圧の持病がある方はCKDを合併しやすいので、ご自身の検査結果に十分ご注意下さい。
(表)
尿蛋白++以上
尿蛋白+かつ血尿+
eGFR50ml/分未満
Q3 eGFRとは何ですか?
A3 腎臓というのは血液中の老廃物(ゴミ)を体外に排泄する臓器です。このゴミ排泄機能のことをeGFRといいます。数字は“パーセント”に置き換えてみるとわかりやすいでしょう。つまりeGFR50というのは腎機能が50%になったことをあらわします。このeGFRは性別・年令・血液クレアチニン値をもとに複雑な計算をするのですが、いくつかのホームページでは項目を入力するだけで自動計算をしてくれます。当院のホームページからも計算ページにリンクできますので是非ご活用下さい。
http://www.seirei.or.jp/sakura/activity/53.html
Q4 CKDは治りますか?
A4 残念ながら治りません。一生付き合っていかなければならない病気です。しかし、様々な治療を駆使すればeGFRの低下に歯止めをかけ、透析予防につなげられます。ただし、腎臓病の治療はかなり特殊で専門的な分野になりますので、経験豊富な医療機関にかかられる方がいいでしょう。ちなみに当院は、前身である国立佐倉病院時代からのノウハウを丸ごと継承しています。一つの例をご紹介しましょう。図は、この8年間に当院を受診したCKD患者さん554名の受診前と受診後のeGFR年間悪化速度の平均値を比較したものです。受診前には1年間に5%強の勢いでeGFRが損失し続けていましたが、受診し治療をはじめた後は2%弱へと抑えることができました。
当院では腎臓内科外来を月から金曜まで毎日おこなっています。また一般の方が無料で受講できる腎臓病教室も開催しています。詳しくは当院ホームページをご覧下さい。
http://www.seirei.or.jp/sakura/
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STaD×聖隷佐倉市民病院 『慢性腎臓病(CKD)についてQ & A』 | トピックス | すたっとTV
健康チェック
副院長・腎センター長 鈴木 理志(すずき さとし)