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STaD×聖隷佐倉市民病院『認知症について』 | トピックス | すたっとTV

健康チェック

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脳神経外科 物忘れ外来 持田 英俊(もちだ ひでとし)

STaD×聖隷佐倉市民病院『認知症について』

2013/03/29

Q1.聖隷佐倉市民病院は認知症で地域の方とどのように関わることができるのですか?
A1. 2つあると思います。
 現在、当院には認知症看護認定看護師(※)が2名おりまして、肺炎、癌、骨折などの体の疾患で入院した患者さんのサポートをしています。突然入院し、環境が変わると元々認知症だった人、あるいはその前段階の人は、家庭で生活していたときと別人のようになることがあります。たとえば、夜眠れなくなったり、興奮したり、大声を出したり、勝手に病室から出て行ってしまうなどです。このような現象を認知症に伴う行動心理症状:BPSDといいます。そのような患者さんに前もって対応することで、治療の妨げになるBPSDの出現を予防し、安心・安楽な入院生活を送っていただくことができるようにします。 
 一方、今年から始めた「物忘れ外来」は早期発見が目標です。この外来にかかる人は普通に生活できるのですが、物忘れが気になり受診される方が殆どです。その中から、治療できる病気を見つけ出し、あるいは将来、認知症になる人を見つけ出し、早めに対処することが目的だと考えています。
 つまり、1.入院された患者さんへの対応、2.地域での認知症あるいはその前段階の人の発見・対処という2点で関わることができます。

※認知症看護認定看護師とは、日本看護協会認定看護師認定審査に合格し、認知症の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた看護師です。

Q2.認知症、特にアルツハイマー病は治らない病気、早期発見しても意味がないのではありませんか?
A2. そんなことはありません。
 早期発見が大事な理由は以下の通りです。
 先ず、高齢化が急速に進んでおり、認知症患者数が急激に増加している点です。また、認知症治療の進歩で、早期治療が有用であることが判明し、深刻なBPSDの出現以前から治療をすることで、その後の介護量の減少に有用であることが分かりました。さらに、先の話になりますが、認知症になる前の根本的治療法の開発には早期の診断が必要です。「物忘れ外来」が早期発見の一助になればいいと思います。
Q3.認知症は専門の医師がみないとダメですか?
A3. そんなことはありません。
 認知症になる人がこれだけ多いと、限られた専門医のみで対処することはできません。かかりつけ医の役割が重要になります。また、認知症は診断して終わりではなく、その時点がスタートです。一部の医師だけが張り切っても問題は解決しません。介護・福祉・行政などの医療サービス提供側の「連携」が重要になります。
 認知症を持つ人に普段から関わるケアマネジャー、看護職、地域包括支援センターなどのスタッフの働きが重要で、中心になるべきです。ですから、早期に診断し、支援体制を整えるため、かかりつけ医と協力し、各職種・部署がお互いの役割を十分に発揮できるように調整するのも「物忘れ外来」の役目だと思っております。

物忘れ外来について●お問い合わせ先
聖隷佐倉市民病院 ☎043-486-1151