みなさんは「緩和ケア」あるいは「緩和医療」という言葉を聞いたことはありますか?
初めて聞く人もいれば、家族や自分自身ががんに対する医療を受ける中で提示されたり、勧められたりした経験を持つ方もいるかと思います。ここでは、この「緩和ケア(緩和医療)」についてお伝えしたいと思います。
がんは様々なつらさを引き起こします。がん患者、家族が体験するつらさは「全人的苦痛(トータルペイン)」と言われ、痛みや息苦しさ、だるさや吐き気といった「からだのつらさ」、気持ちが落ち込んだりイライラしたり、眠れなくなるといった「こころのつらさ」のほか、家族関係や経済的負担、仕事への影響といった「社会的なつらさ」、人生の意味や罪悪感、死への恐れなど死生観に対する悩みである「スピリチュアルペイン」という4種類に分類されます。
緩和ケアは、一言でいえば「がんに伴うからだと心の痛みを和らげ、生活やその人らしさを大切にする考え方」です。全人的苦痛を和らげるための様々なアプローチを行い、患者と家族が自分らしく過ごせるように、医学的な側面に限らず、いろいろな場面で幅広い対応をすることです。非常に多岐にわたるつらさに対応するため、対応自体もたくさんの種類があります。たとえば、痛みに対して痛み止め、吐き気に対して吐き気止めといった薬を使った治療(薬物療法)や、気持ちの落ち込みに対して抗うつ薬などを用いることもあります。また、家で過ごすために介護保険の申請などをお勧めすることもあります。
緩和ケアは、基本的にどのような時期にも受けることができます。緩和ケアを、がんの進行した患者さんに対するケアと誤解し「まだ緩和ケアを受ける時期ではない」と思い込んでしまう患者さんや家族は少なくありません。緩和ケアは、患者や家族の生活やその人らしさを大切にする考え方ですから、がんの病状によって緩和ケアを受けるかどうかを決めるものではありません。
緩和ケアを受けるためには、緩和ケア病棟への入院や緩和ケアチームによる診療といった方法が主体です。がん診療連携拠点病院の指定を受けている医療機関では、緩和ケアに対応できる機能を持つほか、一部の開業医による外来診療や在宅療養でも受けることができます。ただし、患者や家族の状況によって、どのような形が最適であるかは異なりますので、個別に相談を進める必要があります。
10月19日(土)に「いま知りたい 緩和ケアのすべて」と題して、当院にて市民公開講座を行います。緩和ケアとはどういうものなのか、何をしているのかといったことから、どこにいけば受けられるのかといったことまで、緩和ケアに関する情報を提供します。ご興味がある方はどなたでも結構ですので、足を運んでいただければと思います。皆様のご参加をお待ちしております。
聖隷佐倉市民病院健診センター
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健康チェック
緩和医療科 主任医長 村上 敏史(むらかみ さとし)