いびきや昼間の眠気など、心当たりはありませんか?「睡眠時無呼吸症候群」は殆どの方が自覚症状もなく、気付かず放置すると様々な合併症を引き起こす恐ろしい病気です。新幹線の運転士の居眠りやトラック運転手の事故などで一躍有名になったこの病気ですが、日本では約300万人の方がこの病気を患っていると言われています。今回は『睡眠時無呼吸症候群』についてお答えいたします。
Q1. 睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気ですか?
睡眠時無呼吸症候群はSleep Apnea Syndromeの頭文字をとって、「SAS(サス)」とも言われます。この病気は、眠り出すと呼吸が止まってしまい、身体が酸欠状態になるため、深い睡眠をとることができなくなります。このため慢性の睡眠不足の状態となり、昼間に眠気が出現します。睡眠時無呼吸症候群(以下、SASとする)では昼間の眠気が出現するだけでなく、夜間の長時間の酸欠状態により、高血圧が引き起こされたり、動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなったり、糖尿病が悪化したりと、生活習慣病が引き起こされます。このため中等症以上のSASを放置すると10年後には3~4割の方が死亡してしまうといわれており、早期治療が大切と言われています。
Q2. SASではどのような症状が現れますか?
大きないびきや無呼吸、睡眠時の多動など、家族に指摘されて受診するケースが多いです。自覚症状が無い方が多いのが現状ですが、一般的にSASでは十分な睡眠が取れず血中の酸素濃度も低くなるため、集中力の低下や日中の耐えがたい眠気、重要な場面での居眠り、倦怠感等の症状が現れると言われています。
Q3. このような症状があった場合はどうすればいいですか?どのような検査がありますか?
簡易検査と精密検査があります。SASの検査と治療ができる医療機関は全国にあります。当院では呼吸器外科外来で検査が受けられます。
◆簡易検査
自宅でも取扱い可能な検査機器を使って、普段と同じように寝ている間にできる検査です。手の指や鼻の下にセンサーをつけ、いびきや呼吸の状態からSASの可能性を調べます。自宅でもできる検査なので、普段と変わらず仕事や日常生活をそれほど心配せずに検査することができます。また、簡易検査は当院の健診センターの人間ドックのオプションでも受けることができます。
◆精密検査
通常は、簡易検査で要注意な症状が確認された場合に精密検査を行います。簡易検査では無呼吸の有無とその頻度を調べることはできますが、脳波や睡眠の深さなどの詳細データまではとることができません。重症度によっては簡易検査の結果を受けてすぐに治療へと進むこともありますが、より詳細な精密検査(入院検査)が必要となる場合があります。入院して行う検査ですが、仕事などへの支障が少ないよう、仕事終りの夜に検査入院をして翌朝出勤前に退院できるよう配慮されています。
「もしかしたら?」と思ったら、早めの受診をおすすめします。
《参考URL》:睡眠時無呼吸なおそう.com(http://659naoso.com)
聖隷佐倉市民病院 検査科 技師長 福田 淳
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