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STaD×聖隷福祉事業団「“足の血管”気になりませんか?」

2017/07/28

 薄着になることが多いこの時期、足の血管が気になる方はいらっしゃいませんか。下肢の静脈瘤【写真(1)】は女性の25%、男性の15%にみられる比較的多い病気です。
 静脈瘤とは、静脈が慢性的に高い圧にさらされて瘤(こぶ)の様に壊れてしまった状態です。要するに下肢静脈の高血圧です。正常な足の静脈【図(1)】では筋肉運動による汲み上げと多数の逆流防止弁の働きで圧は低く保たれています。ところが何らかの原因で弁が壊れて逆流【図(2)】したり、あるいは稀に(下肢の中心を走る太い)深部静脈に血栓ができるなどして血流が妨げられたりすると静脈高血圧となります。最初のうちは足のむくみ、熱感、かゆみなどがみられ、とくに長時間の立位後や夕方に症状が強くなります。夜間のこむら返りもしばしばみられます。表面の静脈がだんだん太く曲がりくねって静脈瘤となり、さらに進行すると皮膚が硬くなって痛みを伴ったり褐色の色素沈着【写真(2)】が見られるようになります。潰瘍【写真(3)】ができることもあります。
 診断には超音波検査が有効です。静脈瘤の程度を評価するとともに深部静脈血栓症など他の病気が隠れていないか確認してから治療法を検討します。
 症状が軽いうちは静脈圧を下げるために、体重の減量、便通コントロール、長時間の立位や足を下した姿勢を避ける、弾性ストッキングを着用して適度な運動をするなど日常生活の改善で対処します。塩分摂取を控えめにすることも大切です。さらに進行して色素沈着や潰瘍まで悪化すると跡が残りますので、その場合は早めの治療が必要です。静脈瘤が細く狭い範囲であれば注射で治療する硬化療法がおこなわれます。大腿の内側や膝の裏にみられる太い静脈瘤に対しては、深部静脈に問題の無いことを確認してから手術治療が行われます。ソケイ部(太腿の付け根)や膝裏に小さな切開をしておいて静脈瘤の根元を縛る方法(高位結紮術)、大腿の静脈瘤にカテーテルを通してレーザーや高周波電流による熱で瘢痕化する方法、あるいはワイヤーを通して抜去する方法などがあります。静脈を抜去しても大丈夫かとよく質問を受けますが、残される深部静脈に問題の無いことを確認しておけば心配はありません。かえって、壊れてしまった静脈瘤を放置すると皮膚炎や潰瘍が悪化します。一方、深部静脈に血栓などが見つかった場合は、手術は行わず弾性ストッキングや包帯で様子を見ることになります。また、美容上の観点から手術を希望される場合は、医師と相談して治療の効果と合併症との兼ね合いで治療法を決定すべきでしょう。

 最後に、単純な下肢静脈瘤に深部静脈血栓症が合併する確率はせいぜい2%程度であまり心配する必要はありませんが、ソケイ部や膝裏で血栓性静脈炎を併発している場合は深部静脈血栓症や肺塞栓症を合併する可能性が若干高くなるといわれているため注意が必要です。心配な方はどうぞお気軽にご相談ください。

聖隷佐倉市民病院 血管外科 部長 金岡 健