「脳の病気があるかどうか」を調べる目的で、頭部CT検査を行うことがあります。【写真1】 CTは、脳出血を発見することを得意としていますが、小さな脳梗塞や発症直後の脳梗塞が発見できないことがあります。
CTの苦手な部分を補える検査として、頭部MRI検査があります。MRIにはいろいろな撮影方法があり、その1つが、発症してからそれほど時間のたっていない脳梗塞を見つけるのに適した拡散強調画像(DWI)です。
また、血液の流れを画像化して血管を描出するMRAは動脈硬化や動脈瘤など脳血管の病気を見つけるのには欠かせない検査です。他にも、脳の構造やはたらき、病巣の様子、性質までも詳しく調べることもできます。
今回はMRI検査で見つけられる代表的な脳の病気を紹介します。
◆脳梗塞◆-----
脳梗塞は血管が詰まり、その先の脳細胞が壊死してしまう病気です。壊死がCTに写るには数時間かかりますが、MRIの拡散強調画像では発症して間もない脳梗塞を簡単に見つけることができます。ほかの撮影法と組み合わせて、早期診断し、脳梗塞の治療を早くから始められるようになりました。【写真2】
また、CTでは見つけられなかった「無症候性脳梗塞」、つまり、脳梗塞の症状は無いのに検査でたまたま見つかる脳梗塞もあります。【写真3】
脳ドックが増えて、症状のない方がMRIの検査を受ける機会が増えたことも、無症候性脳梗塞が注目されるようになった理由の一つですが、高齢者ではかなりの頻度で見つかります。
高血圧、糖尿病、高脂血症のような生活習慣病の人では頻度が高く、症状のある脳梗塞になる可能性が高くて、脳のはたらきも少し落ち始めていることが多いことも分かってきています。
無症候性脳梗塞と診断された場合は危険因子の治療を行うことが重要です。
◆未破裂脳動脈瘤◆-----
未破裂脳動脈瘤とは、脳動脈の壁にこぶのように膨らんだ部分があり、見つかった時点では出血の徴候がない病気です。【写真4】
脳ドックなどで頭部MRI検査を行うと、約5%程度の人に見つかると言われています。脳動脈瘤がなにかのはずみで出血(破裂)すると、くも膜下出血を起こすことが知られています。
出血は年間1%くらいで決して高い確率ではありませんが、高血圧や生活習慣に注意が必要です。
また、危険性の高い動脈瘤では手術治療を行うこともあります。
気になった症状があれば「年のせいだから」と放っておかずに病院で検査を受けておくことが望ましいのです。
ご心配な方はどうぞお気軽にご相談ください。
聖隷佐倉市民病院 脳神経外科 部長 渡邉 建司
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STaD×聖隷福祉事業団「MRIでわかる脳の病気」 | トピックス | すたっとTV
健康チェック
【写真1】 脳出血 CT検査で診断できることが多い
【写真2】 脳梗塞 拡散強調画像で早期診断できる
【写真3】 無症候性脳梗塞「かくれ脳梗塞」が見つかることも