三人に一人が患っているとされる「痔」。そのうち内痔核(通称いぼ痔)の方は6割を超えるとされています。生命に危険のない病気ですが、この内痔核に悩んでいる方は意外と多いようです。
1.痔核(いぼ痔)とはどんな病気でしょうか?
肛門周辺の粘膜の下には、血管が集まって肛門を閉じる働きをするクッションのような部分があります。肛門への負担が重くなると、クッションを支える組織(支持組織)が引き伸ばされ、クッション部分が大きくなり、出血したり肛門の外に出たりするようになります。これが痔核(いぼ痔)です。
痔核には、直腸側にできる内痔核と、肛門側にできる外痔核があります。また、内痔核が大きくなって脱出するようになると肛門側の痔核、つまり外痔核を伴って内外痔核という状態になることもあります。
2.痔の治療法はさまざまです
内痔核はその症状によって4段階(I度~IV度)に分けられますが、段階ごとに一律な治療法がとられるわけではありません。自覚症状によっても治療法は分かれ、例え症状が重い段階であっても座薬や軟膏、飲み薬で症状が抑えられることもあります。しかし、一般的には内痔核が肛門の外に出てきてしまうようなら外科的な治療を考えた方が良いとされています。また、内痔核の外科療法も多種にわたり、「切紮切除術」や「ゴム輪切紮法」「レーザー治療」などがありますが、今回は硬化療法の一つである『ジオン注療法』(健康保険適用)につきご紹介します。
3.「ジオン注療法」とは?
「ジオン注」とは、脱出を伴う内痔核(排便時に出てくる、あるいは普段から出たままになっているようないぼ痔)に対して、注射による治療を可能にしたものです。
内痔核にジオン注を投与して痔に流れ込む血液の量を減らし、痔を硬くして粘膜に癒着・固定させる治療法です。痔核を切り取る手術と違って、痔核の痛みを感じない部分に注射するので「傷口から出血する」「傷口が痛む」ということはなく、入院期間の短縮も期待できます。
4.どのように「ジオン注」を投与するのでしょうか?
ジオン注を投与する前に肛門周囲への麻酔か、下半身だけに効く麻酔を行い肛門周囲の筋肉を暖め注射しやすくします。
ジオン注はひとつの痔核に対して4か所に分割して投与します。
これは痔核に薬液を十分に浸透させるための方法で、四段階注射法といいます。
複数の痔核がある場合には、それぞれに投与します。投与後しばらく点滴を続け、麻酔の影響がなくなるまで安静にする必要があります。
ジオン注とはどんな薬?
ジオン注の有効成分は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸というものです。
▼▼硫酸アルミニウムカリウム…出血症 状や脱出症状を改善します。
▼▼タンニン酸…硫酸アルミニウムカリウム の働きを調節します。
5.ジオン注を投与するとどうなるのでしょうか?
投与後の早い時期に痔核へ流れ込む血液の量が減り出血が止まり、脱出の程度も軽くなります。その後、投与した部分が次第に小さくなり、引き伸ばされていた支持組織が元の位置に癒着・固定して、脱出がみられなくなります。(1週間~1か月)
このように「ジオン注療法」とは、痛みや出血がほとんどなく、従来の痔核切紮切除術と同程度の治療効果が得られるものとして注目されています。また、入院期間が短く入院費用も少ないといった利点も「ジオン注療法」の特徴です。
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「痔」切らずに治せます 痔核の最新治療 「ジオン注療法」とは~聖隷佐倉市民病院 | トピックス | すたっとTV
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