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STaD×聖隷佐倉市民病院「放射線治療を知ってみよう」 | トピックス | すたっとTV

健康チェック

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STaD×聖隷佐倉市民病院「放射線治療を知ってみよう」

2022/09/28

 現在、日本では2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなられています。がんは、身近な病気です。手術療法、薬物療法とともに、放射線治療はがん治療の3本柱の1つとされており、諸外国では、がん患者の半数以上が、放射線治療を受けています。日本では、「怖い」、「わからない」、「末期」といったイメージが先行し敬遠されがちですが近年は技術の進歩が著しく、副作用が少なく効果的な治療ができるようになってきています。放射線治療を知ることは、明日の自分のため、家族のためにとても大事なことです。
 当院の放射線治療を例にとり、最近の進歩も含めご紹介いたします。

●放射線治療とは
 がん細胞は、正常組織より放射線に弱い性質を持っています。この性質を利用し、患部に放射線をあてる(照射)ことにより、正常細胞を温存しつつがん細胞を消滅させていく治療です。手術療法や全身に影響が出る薬物療法とは異なり、体の負担が少ない治療とされています。

●どんな人が受けるの?
 がんの根治治療、再発予防から、痛みを取る治療まで幅広い分野で活用されています。全身状態が悪く、手術や薬物療法ができない患者さんにも実施できる場合があります。
 最近は、高精度放射線治療の進歩により、より適応範囲が広まっています。

●どうやって治療するの?
 1日1回約15分程度、専用の治療台の上に横になって治療を受けます。機械が狙いを定めて、患部に正確に照射します。当院の放射線治療はX線を使用しています。痛かったり、熱かったりすることはありません。また点滴や薬を使用することはありません。
 患者さんの状態や治療の目的により異なりますが、1回から40回程度照射します。多くの患者さんは外来通院にて治療を受けています。

●副作用は?
 放射線治療の副作用は、治療した部分にしか起こりません。ですから頭部を照射しなければ、髪の毛が抜けることはありません。部分的な照射で、免疫機能の低下が起こることはありません。照射した部分には炎症性の変化が起こりますが、通常は一過性で時間の経過とともに軽快します。
 よく問題にされる、放射線被ばくによる発がんは、現実的には、ほとんど起こりません。

ーーー高精度放射線治療ーーー

●IMRT(強度変調放射線療法)
 放射線出力をコンピューター制御することにより、腫瘍の形状に合わせて照射することができます。正常組織のダメージが少なくなるため、副作用はより軽く、より強力な治療効果を与えることができます。
 前立腺がん、頭頚部がんでは、手術をしない根治治療として広く行われている他、従来、放射線治療が難しいとされた症例でも、放射線治療が可能となる場合があります。

●定位照射
 いわゆるピンポイント治療、放射線を局所に集中させて照射することにより、がん細胞を死滅させる治療で、メスを使わない手術とも呼ばれます。肺がん、転移性脳腫瘍では、手術に匹敵する治療としてガイドラインでも推奨されています。1回から数回の照射で治療終了です。

●脳転移に対する定位照射
ガンマナイフと言われている治療に相当します。

●肺腫瘍に対する定位照射
肺の腫瘍は、呼吸によって動きます。その動きに合わせて照射することにより肺の被ばくを減らします。

※2021年度から、肝臓に対する定位照射、椎体に対する定位照射に対しても、積極的に取り組んでいます。

●肝臓に対する定位照射
金マーカーを留置することで治療台の上で肝臓の動きが確認可能。安全、正確に照射を行うことができるようになりました。

●骨転移に対する定位照射
定位照射にIMRTの技術を組み合わせることにより、神経の副作用を抑えつつ、転移病変に対しても局所制御を目指す治療が可能となりました。

放射線治療科 部長 川上 浩幸

※初診は予約が必要となります。紹介状をお持ちの方は地域医療連携室までご連絡ください。
聖隷佐倉市民病院 TEL:043-486-1151(代)
TEL:043-486-5511(地域医療連携室) 平日8:30~17:00 土8:30~12:15