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STaD×聖隷佐倉市民病院「尿路結石のウンチク」 | トピックス | すたっとTV

健康チェック

STaD×聖隷佐倉市民病院「尿路結石のウンチク」

2023/03/28

尿路結石のウンチク

◆尿路結石ってなに?
 突然お腹に激痛が起こって、救急受診するような状態を急性腹症と呼びます。この腹痛を起こす病気のひとつが尿管結石です。尿管結石症の痛みは息をするのも大変というくらいですので、本人はもちろん周りの人も大変な思いをします。
 腎、尿管、膀胱、尿道のような尿の通り道を尿路と呼び、ここにできる結石を尿路結石といいます。私たちの食べたものは消化されて、主に腸から血液に入ります。それから肝臓に集まって形を変え、余分なものは血液で腎臓に運ばれて、尿の中に捨てられます。尿路結石は尿の成分が固まったもので、もともとは私たちの食べたものです。食べたもののたどる道を大きな目で見ると、肝臓は吸収の総本山で腎臓は排泄の総本山ですから『肝腎』という言葉は、食べ物の出入りの総本山同士でバランスが良いと思います。

◆尿路結石治療の革命
 人類は大昔から尿路結石で苦しんできました。エジプトのミイラも結石を持っていますし、紀元前から結石の手術は行われていたようです。このように麻酔をせずに手術を行う凄惨な時代は営々と19世紀まで続きました。麻酔の登場と技術の向上により、現代の結石治療は痛みのない安全な治療になりました。
 私が医師になった1970年代の尿路結石治療は自然に流れるのを待つか、お腹を切るかの2択しか方法がありませんでした。この時代は手早く結石を取り出して、切ったところを縫合する技術が全盛でした。これが1980年代に入ると、衝撃波を集めて結石を壊す体外衝撃波砕石装置が登場し、体に傷をつけることなく尿路結石を破砕して尿と一緒に流してしまう画期的な治療が普及してきました。
 その後、尿路全体を観察できる細い内視鏡や、これと組み合わせて結石を壊す装置も登場し、20世紀末までにはお腹を切らないことが最優先となりました。このように結石治療では医療の歴史を書き換える革命が起こり新しいテクノロジーにより治療方法が大きく変化しています。当院でも新しい機械や薬剤を使用しながら時代に対応して診療を行っています。

◆尿路結石は予防できるのか?
 日本人のおよそ10人に1人の方が、一生涯に1回は尿路結石症にかかるといわれています。また尿路結石症の治療後にも半分の方が5年以内に再発することもわかっています。それでは尿路結石ができないようにするにはどうしたら良いのでしょう?
 尿路結石は私たちの食べ物の成分で作られることから考えましょう。尿路結石の90%以上はシュウ酸カルシウムの結石です。シュウ酸は私たちが口にする多くの食物に含まれていますので、まったく食べないわけにはいきません。シュウ酸はカルシウムとくっ付くので、腸の中でシュウ酸カルシウムの塊にしてしまえば便となって出ていきます。ですからカルシウムを一緒に食べれば良いことになります。
 昔からおひたしや野菜にかつおぶしや雑魚をかけて食べるのは理にかなっているわけです。ところがこれを邪魔するのが動物性脂肪です。動物性脂肪が腸の中で分解されると、シュウ酸とカルシウムの結合を妨害して、みんな一緒に吸収されるようです。その後シュウ酸とカルシウムが尿の中で再会して、シュウ酸カルシウム結石に育っていきます。動物性脂肪を控える食生活を検討してみましょう。



 クエン酸…柑橘類、梅干し、酢 
 カルシウム…小魚・じゃこ、牛乳・小松菜、海草・豆


 シュウ酸…葉野菜、コーヒー、チョコレート
 プリン体…肉、レバー


◆どんな食生活がいいのか
 酸っぱい食品に含まれるクエン酸は結石の成長を抑えることが知られています。逆にお肉やレバーに含まれるプリン体は尿酸結石の原因になりますし、塩分が多い食事も結石の成長を後押しします。このように考えると、食生活が味気ないものになりがちですので、メタボリックシンドロームの予防と同じように、「あれが良い、これが悪い」とそれぞれの成分に過度にとらわれず、偏食をせずにバランスの良い食生活を続けることが『肝腎』です。

泌尿器科 五十嵐 辰男



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