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風邪と漢方 和漢診療科(月曜日) 笠原 裕司 | トピックス | すたっとTV

健康チェック

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風邪と漢方 和漢診療科(月曜日) 笠原 裕司

2007/12/01

「木を見て森を見ず」という諺があります。西洋医学は木(病気)を見ることに優れていますが、ともすると森(病人)を見失う傾向があります。一方、漢方医学は森を見ることは得意ですが、木を見る技術を持たずに発達してきました。森を見て木を見る医療、これが「和漢診療学」です。
漢方医学は中国医学を淵源とし、6世紀中頃に朝鮮半島を経由してわが国にもたらされた医学体系です。それ以後、千年以上に亘ってわが国の医療を担って来ました。特に江戸中期には、わが国の国情にあった医学体系として変革を遂げました。ちょうどその頃、オランダ医学が紹介されましたので、両者を区別する必要が生じ、オランダ医学を蘭方、古来の伝統医学を漢方と呼ぶことになりました。

だいぶ寒くなって来ましたが、いかがお過ごしですか。そろそろ風邪が流行ってきましたね。風邪の病原体はウイルスですので、免疫力が十分に働かなければ制圧出来ません。風邪治療で一番大切なことは養生です。
体をあたたかくして、十分な休息を取りましょう。食欲が無い場合でも水分補給に努めましょう。元気を付けようと思って、トンカツやうな重など重いものを食べてはいけません。風邪治療に使われるべき体力が消化に奪われてしまいます。うどんやおかゆなど、消化しやすく、体が温まる物を少しずつ摂りましょう。
風邪の始まりに咽頭痛がする方は、桂枝麻黄各半湯・麻黄附子細辛湯・葛根湯合桔梗石膏等が良いでしょう。肩こりを強く感じる場合には、葛根湯の適応です。体の節々が痛む風邪には麻黄湯が、すぐに薄い鼻汁が出てくる方は小青竜湯が有効です。
咳は、風邪のピークが過ぎた後に増えてくることが多いのですが、麻杏甘石湯や麦門冬湯などが有効です。また、何となく微熱や倦怠感・食欲不振が残った場合には、小柴胡湯・柴胡桂枝湯・補中益気湯などで体調を調えるのが良いでしょう。
体力が弱いお年寄りの場合、はっきりした症状が出ないまま肺炎に移行することもあります。普段よりやや元気がない、食欲がやや落ちている、といった小さな変化に注意して、早めの受診を心がけましょう。
風邪も予防が大切です。うがいや手洗い、外出時のマスク着用などは寒くなったら早めに心がけましょう。インフルエンザや肺炎球菌のワクチンもこれらの病原体の流行には大変有効ですので、主治医の先生とよく相談して早めに接種しておきましょう。
予防・養生・早めの受診で、重症化させませんように。