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すたっとコラボレーション「佐倉の秋祭り」vol.2 2007年11月 

2008/09/19

10月、佐倉の旧城下町が一年で最も賑わう時を迎えます。大神輿の渡御、お囃子の音、人々の熱気に包まれる3日間。伝統と歴史を誇る「佐倉の秋祭り」をこれからも守り続けていくため為には、どのような事が必要でしょう。祭りに関わる人々を取材しました。


横町祭礼委員長の國友さんにお話を伺いました。

佐倉の秋祭りは、約400年の歴史を誇る「鏑木麻賀多神社祭礼」を中心に、より多くの市民交流と伝統文化の継承を目的として、平成5年から「佐倉の秋祭り」として、毎年秋に行われています。
 祭礼は3日間。初日は麻賀多神社の大神輿の宮出しが行われ、白丁に身を包んだ鏑木町の青年達が大神輿を担いで氏子町内を渡御します。中日は各町内の山車、神輿、御神酒所が新町通りを中心に練り歩きます。山車の参加は仲町と横町。現存する6体の山車人形のうち曳き廻しができるのは、仲町「関羽」と横町「石橋」のみです。曳き廻しができない町内でも、祭礼期間中は山車人形を飾って祀ります。いずれも明治期に東京から購入した貴重なもので、市の文化財に指定されています。最終日は、氏子町内を巡った大神輿が麻賀多神社へと戻る宮入り。各町内が神様を精一杯のお囃子と踊りでお迎えした後、大神輿を神社へと見送ります。
 「明神祭り、さらば久しい」神様、久しぶりのお渡りです。どうぞ、町の発展をご覧下さい。という意味のかけ声のもと、年に一度町を渡御する大神輿の迫力と各町内の心意気を感じて頂きたい。

横町祭礼委員長 國友 裕さん

 横町の山車人形「石橋」は、江戸時代末期の制作で、130年程の歴史を誇ります。9月には、東京都千代田区で開催される「江戸天下祭」にも参加し、関東を代表する約20の山車や神輿と一緒に、日比谷公園周辺を練り歩きました。展示会場の丸ビルでは、仲町の山車人形「関羽」が参加、佐倉から2町内が参加するのは大変名誉であり、佐倉市のアピールだけでなく、佐倉の秋祭りへの集客にも繋がります。都内で披露する機会に恵まれた事で、市外からの佐倉の山車人形への歴史的評価も高まっています。
 しかし、管理する町内は苦労が絶えません。毎年、山車を曳き廻す事で人形の劣化が激しくなっています。横町は僅か18世帯の小さな地区。膨大な費用を必要とする山車人形の修復は難しく、財政難の行政に頼る事もできないのが現状です。一町内の問題でなく、佐倉に現存する6体の山車人形を今後どう守っていけば良いのか、市の財産として市全体で考えていく事が必要ではないでしょうか。曳き手に関しても不足しており、毎年色々な団体に声をかけて参加して頂いています。曳き手の人材、山車の方向を変える梃子棒の育成、人形の着付け、お囃子の担い手など、課題は少なくありません。一日限りの曳き手に、佐倉の秋祭りの歴史と伝統を理解して貰うのは難問です。
 騒ぐだけでなく、神様をお迎えする為の祭礼であり、日本の神社に昔から伝わる神聖な儀式である事を認識して貰わなくてはいけません。神様をのせた大神輿が町を巡り、山車や神酒所がお迎えするという本来の意味を忘れる事なく、佐倉の秋祭りに参加する一人として、祭り本来の姿を伝えていきたいです。


上町武尊囃子連
(かみちょうたけるはやしれん)


 日曜日の夕方、上町祭礼役員である秋山さんのお宅からは、軽快なお囃子の音が聞こえてきます。
 上町の保有するお囃子連「上町武尊囃子連」は、秋祭りの時期を問わずに毎月2回日曜日に稽古を重ねています。山田敏夫さんの指導のもと、現在10名の子ども達が若山流江戸囃子の稽古に励んでいます。「屋台」「昇殿」「鎌倉」「四丁目」「上がり屋台」の5曲を続けて演奏して「江戸祭囃子」と呼びます。この他にも、秘曲と呼ばれる「麒麟」「亀戸」「階殿」「夏祭り」「鞨鼓」「間延昇殿」などの珍しい曲があり、武尊囃子連の上級者は、全ての曲を演奏する事ができる腕前。「子ども達だけでこの様な曲を全て演奏できるのは、東京でも稀少価値が高い」と、指導者の山田さん。都内の祭礼に招かれて演奏する機会も多く、良い刺激となり稽古の熱に繋がっている様子。毎回ほとんど欠席もなく、稽古を重ねています。
 そんな日頃の成果を披露する一番の舞台が、佐倉の秋祭り。祭りでは「仁羽」と「投合」を演奏。「投合」は神輿を囃す曲で、大神輿をお迎えする際に満身の演奏で臨みます。子ども達にとっては、地元の祭りが最高の見せ場。この日も佐倉の秋祭りで演奏する曲を何度も繰り返し稽古を行っていました。習得するまでには長い時間を必要とするお囃子。毎月、演奏を鍛錬する子ども達は、佐倉の秋祭りを支える貴重な担い手です。
 今年も古くから伝わる伝統の江戸囃子を佐倉の秋祭りという最高の舞台で披露、子ども達が奏でる粋なお囃子の音にも耳を傾けて下さい。

伝統と歴史の裏側で各町内が抱える悩みや課題は多い。それでも、年に一度の秋祭りは人々を熱くさせ「佐倉新町江戸まさり」とうたわれた旧城下町の賑わいを、今に伝えます。佐倉の宝を皆で守っていきたいですね。

祭礼期間中、10月12日(金)・13日(土)・14日(日)は、15時〜22時まで、新町通りが車両通行禁止となります。
緊急車両以外は通行できません。ご注意下さい。
(問)佐倉の秋祭り実行委員会
090‐1053‐0958