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すたっとコラボレーション「風鈴がつなぐまちづくり」vol.1 2007年8月 

2008/09/18

8月、佐倉市の旧城下町では、涼しげな江戸風鈴の音色が聞こえてきました。商店街の活性化を目的に始められた「風鈴フェスタ・風リング」商店の軒先に飾られた子ども達の風鈴は、5年目の今年大きな広がりを見せています。

「風鈴フェスタ・風リング」の取り組みについて、佐倉商工会議所まちづくり支援室にお話を伺いました。

風鈴フェスタ・風リング
2007スタート!

●「風鈴フェスタ・風リング」のきっかけは?
 5年前に佐倉市立美術館で行われた企画展「体感する美術・風鈴プロジェクト」が発端。翌年、視察で栃木県足利市を訪れた際、「足利花火ポスター展」に触れ、小学生が描いたポスターを商店に飾り、店側から子どもに招待状を送るしくみで活性化に取り組んでおり、佐倉市でも風鈴をモチーフにできないかと、TMO事業の一つとして始めました。
(事務局/佐倉商工会議所 藤江 彰さん 談)
 一年目は佐倉小学校。3年生を対象に風鈴の絵付けを行い、メッセージを添えて商店に飾りました。徐々にTMOエリア内の小学校に輪を広げ、今年は佐倉地区で6校が参加。昨年からは、商工会議所青年部との共催となり、この夏初めて臼井地区の小学校にも導入。今年は、臼井地区を含め市内7校約360名で、風鈴の絵付けを行いました。

●5年間の成果は?
 子ども達は、目を輝かせて楽しく取り組んでいますね。子どもならではの発想で絵のテーマも面白い。筆を使わずに指で描く子もいます。毎年バラエティーに富んだ作品が生まれ、5年目を迎えても新鮮です。
 風鈴を描くのは毎年3年生のため、低学年の児童が楽しみにもしてくれているようです。学校では授業に組み込んで頂くようになり、協力体制も整ってきました。商店街に関しても、夏の風物詩として定着しましたが、一方で招待状を書くのを忘れてしまう店主の方もまだいらっしゃいます。
 一番の目的である活性化の面では、店頭まで自分の風鈴を見にいきながらも、店の人に声をかけることができずに帰ってしまう子も多いようです。もっと気軽に保護者の方とお友達と一緒に訪ねて頂ければと思っています。お店の方には、子ども達が入りやすい工夫をして頂く事をお願いしています。
 昨年からは、来店した子には実行委員会が用意した缶バッジをプレゼントしています。また一昨年からは、より多くの風鈴を楽しんで頂こうと風鈴マップも制作。自分だけでなく、お友達の作品も鑑賞しながら、商店巡りを楽しんで頂きたいですね。

● 今後の取り組みは?
 これまでは、佐倉TMO事業として商工会議所が事務局で取り組んできましたが、最近は青年部の皆さんが協力して下さり、熱心に商店に足を運び主旨を説明して下さる事で、協賛への理解も得られるようになりました。
 青年部と商店、子どもと商店の交流といった人と人との交流が街を支えるのだと思います。立場が違えども一つの目的に向かって共同作業を進めていくのは素晴らしいですね。
 子ども達が絵付けをする風鈴は、約300年の伝統を誇る江戸風鈴です。歴史ある佐倉と伝統の風鈴が共演した「風鈴フェスタ・風リング」が、皆が自慢できる佐倉を代表する夏の風物詩になる事を願っています。


風鈴フェスタプロジェクトリーダー 三谷新一さん
(佐倉商工会議所青年部・三谷屋呉服店)

 風鈴フェスタのプロジェクトリーダーであり、青年部に所属する三谷新一さん。毎年、催しの動向を確認しながら、商店街の元気に繋がるように風鈴の輪を広げてきました。三谷さんが営む呉服店は、旧城下町の中心である新町通りにあり、TMO事業の風鈴フェスタには、ひときわ熱い思いで取り組んできました。昨年からは、自身も所属する青年部のメンバーが積極的に活動しています。
 今年、絵付けが行われた7校の小学校には青年部のメンバーが訪れ、子ども達に主旨を説明しながら風鈴の絵付けを指導。今年初となる臼井地区では、商店だけでなく地区を走る循環バスの車内にも風鈴を飾る事を提案。期間限定で風鈴バスが走ることになり、青年部メンバーによる情熱が商店という枠組みを越え、街全体の随所で広がりを見せています。
 風鈴の絵付けの人気も高く、毎年開催している夏の金毘羅縁日ふれあいマーケット「風鈴絵付け体験」では、希望者の多さに風鈴の数が足りなくなる事もありました。今年は8月10日に体験教室を開催します。
 「旧城下町からスタートした試みを、佐倉の風物詩として市内全域に広げていきたい」と、抱負を語る三谷さん。呉服店の軒先にも子ども達が絵付けをした彩り豊かな風鈴とメッセージが飾られ、風が通る度、5度目の夏の始まりを涼しげに知らせてくれます。

 旧城下町の風情と伝統の音色が出会う「風鈴フェスタ・風リング」江戸風鈴は、一つ一つ音が異なるのが特徴です。職人の伝統技に、子ども達が自由に描き、商店の軒先で交流が生まれる。幾つものコラボレーションが織りなす風鈴の音。この夏、佐倉を訪れた際には、耳を傾けてみませんか。