今年3月で発足して30年。佐倉の自然を愛し、個人の楽しみだけでなく、佐倉市からの委嘱を受けて市内の植物調査も行っている佐倉野草会。2月の自然観察会を訪れました。
会長の松平さんに会の活動や自然への思いについてお話を伺いました。
帽子にスニーカー、ルーペに野察帳と呼ばれる観察手帳が彼女達の必需品。春を思わせる陽気の中、川村記念美術館の駐車場に佐倉野草会の皆さんの姿がありました。佐倉野草会では毎月、その季節に応じた自然観察会を行っており、今回のテーマは冬芽観察。まだ小さく成長過程の冬芽から、何の植物かを判断するのは難しいそうですが、「冬芽の付き方は面白いので、観察しながら冬の植物の元気さに感激したいですね」と、会長の松平さん。和やかな雰囲気に包まれます。この日のコースは、川村記念美術館敷地内と美術館を囲む谷津田を巡ります。陽のあたるところと、あたらないところの違いなどにも意識しながら、あらかじめ用意された会長手作りの資料を参考に観察が始まりました。歩き始めてまもなく「ほらほら咲いてる〜きれい!」と歓喜の声。皆さんが感激しているのは「ロウバイ」の花。同じロウバイでも品種によって、色合いや花びらの形、香りまでも異なる事を発見。すぐにルーペを取り出して細かく観察。口々に「きれい、可愛い」と感嘆の声を漏らしていました。また、冬芽観察のテーマ通り、芽の向き、雄花と雌花の付き方、植物が寒さから身を守るのためにまとう芽鱗の有無など、何度も立ち止まりながら一つ一つ、興味深く観察していました。植物だけでなく、木に鳥の巣を見つけたら、野鳥観察に早変わり。会の中には野鳥の専門家もいて、すぐに解説。「見て下さい。巣に自然でないものがあります」と一声。見つけた巣には、ビニールがぶらさがっており、ヒナが飛び立つ際にからまって命を落とすケースもある事を紹介。また谷津では、日本赤ガエルの減少なども伝えられ、自然環境を危惧する現状も伝えられました。「個人の楽しみだけでなく、多くの人に自然の大切さを伝える事が私達の使命」と、会長の松平さん。佐倉野草会では、活動30年を記念し3月に佐倉の目録を出版。佐倉市内の草木、約1200種が学名と写真で詳しく紹介されています。出版にあたり行ってきた調査の中で、県内では佐倉市のみで自生している貴重な植物が発見された一方、10年前には見る事ができた植物が現在では絶滅してしまった調査結果も報告されており、佐倉の自然を啓蒙する書籍としても重要な一冊となりそうです。
冬芽観察会を終えた後、参加者からは「家にいたら冬と思っていたのに歩いたら春だと実感しました」「可愛い木の芽たちに会えて良かったです」などの声が聞かれ、皆さん感激の連続だった様子。会長の松平さんは「植物の名前を覚える事ばかりが大切でなく、自然界に出て感動する気持ちを持つ事が大事」と、観察会を締めくくりました。オオイヌノフグリやホトケノザ、途中、出会った足元に咲く小さな野の花が、この日皆さんの心に春の足音を運んだようです。
(問)佐倉野草会会長 松平さん
043(485)2122
STaD TV webは「まちづくりメディアSTaD」誌面との融合型映像配信サイト!北総エリアのまちづくり情報をお届けします。