佐倉市太田の古木で、以前フクロウが雛をかえしたことから、フクロウが息づく自然環境を取り戻そうと、会の名に思いを集約しました。自然環境の再生に汗を流す皆さんを取材しました。
佐倉市太田で環境再生に取り組む会の皆さんの活動を取材しました。
総武本線を佐倉駅から千葉方面へ向かいトンネルをぬけると、広大な田園風景が広がります。鹿島川に架かる鉄橋南側が太田地区。時代の移り変わりで、現在では兼業農家が大半を占め、農業の高齢化、後継者不足に加え効率化を重視する余り、機械化に適さない小規模な田んぼや湿田は取り残され、休耕田に姿を変えて荒地になっています。豊かな自然溢れる太田地区本来の姿を次世代へ残そうと、地元住民を中心に15名が手をあげ、昨年春「フクロウの会」が発足しました。
ウグイスの声が響く3月末、荒廃田で汗を流す皆さんの姿がありました。荒廃田に鍬を入れると、蓄積していた水が土とともに掘り起こされ、ぬかるんでいきます。足をぬかるみに深くとられながら作業を進めていくのは一苦労。長年、手が加えられていなかった地には木の根が幾多も張っており、除去作業は大変な労力です。しかし、手作業で自然の状態を残しながら行う環境再生は、多様な生き物の命を育みます。太田には湧水があり、ホタルが餌にする巻き貝「カワニナ」も生息。また、河川上流域や平地の湧水付近に生息することで知られる「サワガニ」も確認されており、貴重な生き物を観察することができる生態系観察や、ビオトープの活用場として夢と構想が広がります。堰土手を挟む反対側の田んぼでは、機械を多用した現代農法が展開されており、堰土手を境に農業の「今昔」を見ることができるのも魅力といえます。今春には、隣接する山王地区から山王小児童が、会が整備した田んぼで田植え体験を行います。耕地を吹き抜ける風、野の花、生き物、子ども達には肌で自然を感じて貰いながら、会の活動を通して、人と人との繋がりの大切さも学んで欲しいと期待を寄せます。
5月5日には、太田の竹林を会場に、今年4回目となる「竹林コンサート」を開催。景観に誘われて太田に移住したアーティスト「香音天」が、演奏を通して自然の大切さを伝えます。「香音天」は、甲斐いつろう・カオンさんご夫婦による打楽器と篠笛のユニット。昨年、二人の希望から休耕田を、地域の方の協力のもと約30年ぶりに復田、米作りを行ったことが「フクロウの会」発足の複線にあります。
将来的には、生い茂る竹やぶを広葉落葉樹に変え、水の浄化、薪や炭づくりの燃料確保、不法投棄防止の環境整備の他、地域に残る中世の砦跡の保存も視野に入れて活動しています。フクロウが、安心して子育てができる里山の姿を思い描き、故郷・太田の風を頬に受けながら、皆さんは今日も汗を流します。
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